知的障害の概念
知的障害とは、一般に、同年齢の子供と比べて、「認知や言語などにかかわる知的機能」の発達に遅れが認められ、「他人との意思の交換、日常生活や社会生活、安全、仕事、余暇利用などについての適応能力」も不十分であり、特別な支援や配慮が必要な状態とされています。また、その状態は、環境的・社会的条件で変わり得る可能性があると言われています。
知的障害の診断
知的障害は、原因として考えられる疾患がある場合や、原因がわからない場合など様々です。そのため、診断にあたっては原因として考えられる疾患の有無を調べる必要があり、その疾患も染色体異常・神経皮膚症候群・先天代謝異常症・胎児期の感染症(たとえば先天性風疹症候群など)・中枢神経感染症(たとえば細菌性髄膜炎など)・てんかん・など発作性疾患があげられ、多岐にわたっています。
知的障害を依存しやすい疾患や障害
❶脳性まひ
脳性まひは、脳の損傷が原因となり、思うように身体を動かすことができない状態をいいます。手足に力が入り突っ張った状態になる痙直型、自分の意思とは関係なく身体が勝手に動くアテトーゼ型、筋肉の緊張が低く思うように筋肉に力が入らない失調型があります。
❷てんかん
てんかんは、脳の中で様々な電気信号が起こることで身体の動きがコントロールされる疾患で、けいれんや、意識障害などの発作が表れます。乳幼児期に発症しやすく、薬を服用することで症状を抑えていきます。
❸自閉症スペクトラム(ASD)
自閉症スペクトラム(ASD)は、知的障害を伴う場合があります。自閉症児者は知的障害の有無も含めて特性が多様であることから、スペクトラム(連続体)という言葉が用いられています。
❹ダウン症
ダウン症(正式名称:ダウン症候群)は、染色体の突然変異によって起こり、通常、21番目の染色体が1本多くなっていることから「21トリソミー」とも呼ばれる先天性の疾患です。ダウン症は全体的な発達やゆっくりで知的・言語発達の遅れや、筋力の低さや低緊張などにより運動機能や、摂食機能にも影響を及ぼす場合があります。
診断
知的障害の診断は、知能検査や発達検査などを実施することでわかる知能指数(IQ)と、日常の生活の様子や保護者の訴え、なによりも本人の診察所見を総合して行われ、知能指数と実際の生活での困りごとは必ずしも一致しないこともあります。
支援のポイント
知的障害は、知的発達の遅れから言葉の理解や、出来事への理解が難しく時間を要したり、言語指示のみではなく視覚的に伝えていくなどのアプローチも必要になります。また、知的発達の遅れのみならず、運動・作業面の不器用さを抱えていることもありますので、身の回りの生活動作に関しても時間がかかったり、苦手な動作も多いかもしれませんので、ペースや環境に配慮して、かかわっていきましょう。本人にとって、「わかった」、「できた」という実感を持てることが大切です。